ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第十七回 李白名作選(4)宴の席で」
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Narrado por:
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宇野 直人
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De:
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宇野 直人
Acerca de este título
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第十七回 宴の席で〉
〈李白編〉の最後は、やはり李白らしい、元気のよい作品を中心に見てゆきましょう。同じ酒の詩でも、前回は自分の主張や心境を詠むほうに重点がありましたが、今回は宴会の席で、雰囲気を盛り上げることを主眼とした作品が主となります。
最初の雑言古詩「前有樽酒行二首」其の二は、長安か洛陽の酒場を舞台にしたもの。琴のしらべ、西域の美女、エキゾチックな舞踊が詠まれ、唐王朝最盛期の空気感が伝わって来ます。次の五言古詩「金陵の酒肆にて留別す」は、李白のお気に入りの町・金陵の酒場での作。お店の看板娘が手ずから新酒をしぼって試飲させてくれます。
そして七言古詩「酒を把(と)つて月に問ふ」は、杯を手にしてお月様にいろいろと問いかける、思索的な作品。はかない人生のひと時を、せめて美酒と月の光によっていろどりたい、と願って結んでいます。
<収録作品>
前有樽酒行 二首 其二
把酒問月
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。