髪かざり
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Narrado por:
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斉藤 範子
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De:
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山本 周五郎
Acerca de este título
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。 その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
廻船問屋新津屋の娘・お稲は、高雄山の松林の中から、いつものように海を見ていた。八月に新津屋の船・浜田丸で江戸に向かった父・勘右衛門の帰りを待っていたのである。もう十二月半ばになる。周りには「いくら待っても無駄だ。浜田丸はもう帰って来ない」とあからさまにいう者もいた。
元々浜田藩の廻船は今津屋という大きな廻船問屋がひと手に預かっていたが、その年から江戸へも廻船することになり、それを新津屋勘右衛門が引き受けたのである。もとは今津屋の持ち船を借りてささやかな漁業を営んでいた勘右衛門だったが、妻のお園がお稲の弟にあたる十吉のお産で体を壊したのを機に発奮し、稼ぎ貯めた金で船を買って、非常な決心で廻船業を始めたのであった。それから六年の艱難辛苦を耐え、増えた持ち船を売って五百石積みの浜田丸を新造したのである。まさにこれからという矢先の江戸行きであった。
ところがその日、老手代の和平からお稲に伝えられたのは、父の乗った浜田丸が難破したという知らせであった……
<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。©2019 PanRolling