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往生絵巻

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往生絵巻

De: 芥川 龍之介
Narrado por: 村上 めぐみ
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Acerca de este título

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


童 やあ、あそこへ妙な法師が来た。みんな見ろ。みんな見ろ。
鮓売の女 ほんたうに妙な法師ぢやないか? あんなに金鼓をたたきながら、何だか大声に喚いてゐる。……
薪売の翁 わしは耳が遠いせゐか、何を喚くのやら、さつぱりわからぬ。もしもし、あれは何と云うて居りますな?
箔打の男 あれは「阿弥陀仏よや。おおい。おおい」と云つてゐるのさ。
薪売の翁 ははあ、――では気違ひだな。
箔打の男 まあ、そんな事だらうよ。
菜売の媼 いやいや、難有い御上人かも知れぬ。私は今の間に拝んで置かう。
鮓売の女 それでも憎々しい顔ぢやないか? あんな顔をした御上人が何処の国にゐるものかね。
菜売の媼 勿体ない事を御云ひでない。罰でも当つたら、どうおしだえ?
童 気違ひやい。気違ひやい。
五位の入道 阿弥陀仏よや。おおい。おおい。
犬 わんわん。わんわん。
物詣の女房 御覧なさいまし。可笑しい法師が参りました。
その伴 ああ云ふ莫迦者は女と見ると、悪戯をせぬとも限りません。幸ひ近くならぬ内に、こちらの路へ切れてしまひませう……©2022 PanRolling
Literatura y ficción Narrativa literaria

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