実説 城谷怪談 撰集十
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Narrado por:
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城谷 歩
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De:
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城谷 歩
Acerca de este título
<実説 城谷怪談>
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
<内容紹介>
「死神」(31分)
看護師をされていたNさんという女性。今から十年ほど前に勤めていた都内のある総合病院には、関係者なら誰しもが知っている噂があった。
「三階の奥の病棟には死神が出る」
迷信だと気にせずにいたNさんだったが異動の辞令が下りて、ある日、自分が三階のナースステーションに配属になってしまう。初めこそ明るい、感じのいい病棟だと思ったのが間もなく師長さんに呼ばれ妙な相談を受けることになってしまう。〝この病棟にまつわる噂を知っているだろうか?〟と。
前任者もその前の担当者も「死神が出る」「死神を見ると必ずそのベッドの患者は死んでしまう」「人の死期が見えて、黙って送るより他ないのは辛すぎる」という理由で、皆辞めていったというのだ。
やがて、噂だと思っていたそれをNさんも目の当たりにすることになるのだが。
「コンビニの二階」(35分)
体験者が高校生だった、約二十数年前。住まい近くのコンビニエンスストアは二階に住居スペースがあるタイプの建物だった。初代オーナーがもともとは住んでいたとのことだが、当時のオーナーは四代目。事務所の奥から上がれるようになっている二階へ続く階段にはカーテンが下ろされ誰も使うものはいなかった。
夏休みに入り、体験者は少しでもたくさんアルバイト代を稼ぎたいと申し出て、夜勤帯での最初の出勤の日、自宅を出て坂を登り道路一本挟んで向かいに店が見えた時、二階の窓のカーテンが揺れ誰か人が居ることに気が付いたという。 見間違いだったかとその時は思ったのだが……。
「ついてくる足音」(28分)
札幌市の某区には歩道橋代わりに地下歩道という幅の狭いトンネルが彫られている場所がある。
体験者の女性はその日も通勤路にあるその地下歩道を利用しようと入り口にまで差し掛かると、ぽっかりと開いた地下への入り口付近の草むらにビビットな原色の黄色いハイヒールが一つ転がっているのを見とめた。
吸い寄せられるように近づき手に取ると、彼女は鞄にそれを入れて出勤してしまう。何故そんなことをしたのかはわからなかったが、彼女は午後の休憩でそれを捨てるつもりでいた。
ところが休憩時間に鞄を見るとそのハイヒールは忽然となくなってしまっていたのだ。
その日、残業で遅くなった帰り道、件の地下歩道を歩いていると誰もいないはずなのに後ろから足音がもう一つ響いてきて…。
「押入れの呻き声」(38分)
城谷がまだ小学生のころ。北海道には珍しく激しい雨が降り続く嵐の晩、家の向かいの道路で大きな衝撃音が轟いた。慌てて外を見るとあらぬ方向に向いた何台もの車、そして近くの横断歩道に転がった真っ赤な女性ものの傘。人身事故だった。
明朝、嘘のように晴れた通学路には、まだ昨夜の雨が水たまりをあちこちに残していたが、現場傍らの電柱の根元、その水たまりは真黒で表面に油が浮いていた。血であった。
聞けば被害者の女性は助からなかったという。
子供心にも重く悲しい気持ちになったのだが……事態は一週間後の雨の晩に急展開を迎えることになった。
打ち付ける激しい雨音を聞きながら、一人自室にこもって絵を描いていると…。