Muestra

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女生徒

De: 太宰 治
Narrado por: 斉藤 範子
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Resumen del editor

太宰治(本名 津島修治)は、小学校では学校始まって以来富岳百景 の秀才と称されるほど成績優秀で、特に作文に優れ、腕白でいたずらっ子でもありました。

茶目っ気があり、中学校では友人を笑わせては先生に叱られることも多かったそうです。

そしてこの頃から文学作品に親しむようになり、友人らと同人誌「蜃気楼」を創刊、太宰自身も作品を発表しました。

そんな彼が、ノートに何度も名前を書いたり講演会に足を運んだり、格好を真似て写真を撮ったりと深く愛好していた作家に芥川龍之介がいます。

その芥川の死に強い衝撃を受けたことがきっかけで、学業を投げ出し悪遊びをするようになりました。

それから太宰の姿は、今までとは想像もつかないような変貌を遂げていきます。

感受性が強く情緒不安定で、突拍子もない行動を起こし、故に波乱万丈な人生となります。

そうした彼の資質や様々な経験から生み出された小説はとても人間くさく、今でも読む人々を魅了しています。

<作品冒頭>

あさ、眼をさますときの気持は、面白い。
かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっと襖をあけられ、日の光がどっと来て、でこちゃんに、「見つけた!」と大声で言われて、まぶしさ、それから、へんな間の悪さ、それから、胸がどきどきして、着物のまえを合せたりして、ちょっと、てれくさく、押入れから出て来て、急にむかむか腹立たしく、あの感じ、いや、ちがう、あの感じでもない、なんだか、もっとやりきれない。
箱をあけると、その中に、また小さい箱があって、その小さい箱をあけると、またその中に、もっと小さい箱があって、そいつをあけると、また、また、小さい箱があって、その小さい箱をあけると、また箱があって、そうして、七つも、八つも、あけていって、とうとうおしまいに、さいころくらいの小さい箱が出て来て、そいつをそっとあけてみて、何もない、からっぽ、あの感じ、少し近い。
パチッと眼がさめるなんて、あれは嘘だ。
濁って濁って、そのうちに、だんだん澱粉が下に沈み、少しずつ上澄が出来て、やっと疲れて眼がさめる。
朝は、なんだか、しらじらしい。
悲しいことが、たくさんたくさん胸に浮かんで、やりきれない。
いやだ。いやだ。
朝の私は一ばん醜い。
両方の脚が、くたくたに疲れて、そうして、もう、何もしたくない。
熟睡していないせいかしら。
朝は健康だなんて、あれは嘘。
朝は灰色。いつもいつも同じ。一ばん虚無だ。
朝の寝床の中で、私はいつも厭世的だ。いやになる。
いろいろ醜い後悔ばっかり、いちどに、どっとかたまって胸をふさぎ、身悶えしちゃう。

朝は、意地悪……。

太宰治(だざい・おさむ)
津軽の大地主の六男として生まれる。共産主義運動から脱落して遺書のつもりで書いた第一創作集のタイトルは「晩年」(昭和11年)という。この時、太宰は27歳だった。その後太平洋戦争に向う時期から戦争末期までの困難な間も妥協を許さない創作活動を続けた数少ない作家の一人である。戦後「斜陽」(昭和22年)は大きな反響を呼び、若い読者をひきつけた。
©2022 PanRolling

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