ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第十三回 晩年の日々」
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Narrado por:
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宇野 直人
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De:
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宇野 直人
Acerca de este título
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第十三回 晩年の日々〉
李白は恩赦によって流罪を免ぜられると長江を下り、中下流の名所を漫遊する日々を過ごします。上元2年(761)、宣城の民宿で宿を取った折の五言律詩「五松山下 荀媼の家に宿る」は、晩年の李白のさびしい、人なつかしい心境をよく映し出しています。
宝応元年(762)、62歳の李白は当塗(安徽省)の長官李陽冰(りようひょう)のもとに身を寄せ、その地が彼の終焉の地となりました。
最後の年の作品として、残っていたエネルギーが爆発したような雑言古詩「悲歌行」、旧知の酒造りの名人を悼んだ五言絶句「宣城の善醸紀叟を哭(こく)す」、そして辞世の作「臨路の歌」。「臨路の歌」では、二度までも朝廷から否定された自分を憐れみ、せめて詩の数々が永く伝えられるように、と切願する思いが伝わって来ます。
<収録作品>
宿五松山下荀媼家
悲歌行
哭宣城善醸紀叟
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。