ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第十一回 近しい人々へ」
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Narrado por:
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宇野 直人
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De:
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宇野 直人
Acerca de este título
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第十一回 近しい人々へ〉
天宝13年(754)、54歳の秋から三年間、李白は秋浦に滞在していました。五言絶句「秋浦の歌十七首」の連作は、風光明媚なこの土地の雰囲気をよく映し出しています。中でも「其の十五」は「白髪三千丈」の警句から始まることによってひときわ知られます。また、七言絶句「汪倫に贈る」は、情にあつい彼の一面をよく表したもの。
一方、五言古詩「秋浦にて内に寄す」は、秋浦から潯陽(江西省九江市)に向かう舟旅の途中で妻に送ったものですが、この妻宗氏は李白の四人目の妻でした。彼は最初の妻許氏と死別後、二人の女性と一時、内縁の関係にあり、天宝9年(750)ごろ、改めて宗氏を妻に迎えたのです。 宗氏は初唐・則天武后の時代に宰相を勤めた宗楚客の孫娘にあたり、後年、李白が反逆罪で投獄されると、夫のために大いに尽力することとなります。
<収録作品>
秋浦歌 十七首 其十五
贈汪倫
秋浦寄内
望蘆山瀑布 二首 其二
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。