ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第五回 旅の身の感慨」
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Narrado por:
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宇野 直人
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De:
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宇野 直人
Acerca de este título
<内容紹介>
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第五回 旅の身の感慨〉
仕官の手づるを求める旅の最中、李白は各地で名作を残しました。三十二歳、東都洛陽での七言絶句「春夜 洛城にて笛を聞く」、妻に向けてふがいない自分をわびるような五言絶句「内に贈る」、三十代後半、東魯(山東省)での七言絶句「客中行」。
仕官を求める李白の旅は三十代の終わりまで続きます。が、天宝元年(742)、四十二歳の李白は、ついに玄宗皇帝の朝廷に招かれました。都長安に単身赴任する直前、南陵(安徽省)の家で開かれた祝宴の場で披露された七言古詩「南陵にて児童に別れ 京に入る」からは、李白のはやり立つ心がまっすぐに伝わって来ます。
なお、このとき李白は最初の妻許氏とは既に死別し、劉氏という女性と南陵に新しい家庭をもっていました。許氏との間にさずかった二人の子(姉と弟)も、ここに引き取っていたのです。
<収録作品>
春夜洛城聞笛
贈内
客中行
南陵別児童入京
<講師:宇野直人(うの・なおと)>
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。