ファンタスティック!漢詩ワールド「李白 第三回 江南の日々」
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Narrado por:
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宇野 直人
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De:
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宇野 直人
Acerca de este título
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。
時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。
漢詩は和歌や俳句とともに、永く日本人に親しまれて来た文学形式ですが、漢字ばかりで作られるため、気おくれしてしまう人もおられるようです。
が、そのいかめしい外見から一歩中に入ってみると、まことに多彩で魅力ある世界が現れて来ます。
それは或る種の果物に似ています。西瓜(スイカ)の、あの固い緑色の外皮の中には赤くジューシーな果肉が、また荔枝(ライチ)の、あの固いトゲだらけの、茶色の外皮の中には、丸くて白く、甘い果肉が包まれています。
このシリーズは、漢詩のそのような果実をなるべくわかりやすくお伝えするもので、名作の数々を、時代背景や作者の境遇と合わせてお話ししてゆきます。
漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地は、まさしくファンタステイック!と言えるでしょう。
〈第三回 江南の日々〉
今回は会稽にて、当地の有名な美女の命運に思いをはせた五言古詩「西施(せいし)」から始まります。西施は春秋時代の「呉越の戦い」の時期、越から呉に送り込まれ、呉の国力を内側から疲弊させた女スパイですが、若き李白は彼女のことをどう見ているでしょうか。
そして20代後半、望郷の思いを告白した七言絶句「静夜思」、敬愛する詩人孟浩然(もうこうねん)を送った送別詩「黄鶴楼(こうかくろう)にて孟浩然の広陵に之(ゆ)くを送る」と、若き日の名作が続々と登場します。
李白はプライドが高いためか、ほかの人をあまりほめませんが、数少ない例外が孟浩然、南朝の謝眺、そしてもう一人上げるとすれば、旧知の道士元丹丘(げんたんきゅう)でしょう
このころ、なかなか引き立てが得られない中、李白はしばしば元丹丘を訪ねています。そこで今回の最後に、彼をほめたたえた雑言古詩「元丹丘の歌」を取り上げます。
● 収録作品
「西施(せいし)」
「静夜思」
「黄鶴楼(こうかくろう)にて孟浩然の広陵に之(ゆ)くを送る」
「元丹丘の歌」
講師:宇野直人(うの・なおと)
昭和二十九年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士。現在、共立女子大学国際学部教授。著書に『中国古典詩歌の手法と言語』(研文出版)『漢詩の歴史』(東方出版)『漢詩の事典』(共著、大修館書店)など。平成十九年、NHKラジオ「古典講読――漢詩」講師、平成二十年より同「漢詩をよむ」講師。