実説 城谷怪談 撰集九十一
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Narrado por:
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城谷 歩
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De:
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城谷 歩
Acerca de este título
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「因縁」(27分)
民実さんという女性が二十年以上前から、今なお繰り返しているという不気味な体験談。
はじめはまだ三十代のころの事だった。
ご主人と二人で夢だったペンションの経営に乗り出して間もなく、あっという間に大繁盛で喜ばしく思いながらも疲労困憊、
不眠が続いていたある晩の事、夜中に金縛りにあいハッと気づくと十年以上も前に他界したはずの母親が布団の横に寝ていた。
すると、突然その母親の首がゴロリと胴体を離れたのだ。そして、母親のほかにももう一人……抜き身の刀を持った武者の姿が……。
「欄間から覗く顔」(26分)
現在四十九歳のちぃさんは大阪在住の女性。彼女の両親は、彼女がまだ十六歳だった高校時代にお父さんが失踪する形で離婚している。
とても優しい父親だったがギャンブルが好きで金銭関係にだらしなくそれがもとだったのでしょう。ほどなく居場所がわかり、
しばらくちぃさん含め子供たちとは交流があったものの、再び行方をくらましてしまう。数年後、お父さんは家族でよく出かけた思い出の公園の松の木で首を括って自殺してしまったそうだ。
葬儀も済んでしばらくちぃさんは不思議な夢を見た。見知らぬ和室ではたと気づくと欄間から亡くなったはずの父親がジッと見下ろしているのだ。
「さまよう頭 前編」(23分)
未希さんは中学生の或る晩夏の出来事を忘れない。
その日は天気も良く放課後の帰路はまだまだ蒸し暑かった。
住んでいた団地の敷地内にたどり着いたときは西日が大分傾き、大きな太陽が最後の光を放つ色は驚くほどに赤かった。
未希さんが住んでいたのは奥の棟、ところがこの日はそこに向かうまで誰一人すれ違う住人がいなかった。
隣の公園にも、敷地内にも自分以外の人の姿がない。
少し心細くなった時背後に人の気配がして、気味悪くなった未希さんは急いで部屋に走った。
玄関ドアをくぐり、いよいよ閉めるという段になって、閉じ切らない隙間の足元に見たこともない女の顔が挟まっているのを見てしまった。無論生きた人ではない。
「さまよう頭 後編」(24分)
未希さんは、女の顔を見てしまいその日行くはずだった塾を休むことにした。
迎えに来る友人のゆうきちゃんに伝えるため待ち合わせの団地内にあるごみ置き場にやってきたが、
ゆうきちゃんの自転車が横倒しになっていて本人の姿がない。
すると少し離れた自販機の横からゆうきちゃんがおびえた顔で現れ、待っている間に幽霊を見たという。まさにあの女だった。
このことは二人だけの秘密にして誰に口外することもなく、
未希さんは高校生になった。演劇部に所属し青春を謳歌していた未希さんは再びあの恐怖が襲われることになる。©2022 Wataru Shirotani